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靖国神社では、多くの参拝者に、祖国を愛しつつ戦歿された英霊の御心に触れていただきたいと、毎月社頭に御祭神の遺書・書簡等を掲示しています。(今月の遺書）
今年（２００２年）の９月に掲示されたのがこの遺稿です。これをご覧になった横浜在住の呉 正男さんが非常に感動なされ、今更日本教育はもう遅いが、せめてその一子董英明さんを靖国神社に案内し、遺稿をみせ、お父さんのご冥福をお祈りさせて上げようと、石戸谷 東京事務所の石戸谷 慎吉さんにその居所を探してほしいとご依頼なされましたが、残念ながら董英明さんはもうすでに６年前咽喉癌で亡くなっていました。 玉峯 長雄はジャワ（今のインドネシア）に派遣された陸軍軍属（通訳）でした。戦後３年近くも監禁され、捕虜をたったが 「叩イタ蹴ッタ 」 の理由で、オランダ軍に銃殺されました。
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遺
稿
―前略― 本職ハ台湾人デアル。アルガ故ニ一身ヲ捧ゲ妻子ヲ犠牲ニシテ法廷ニ於テ最後ノ一線ヲ守リ、ソシテ散ルノデアル。日本ノタメヲ思ツテ終始一貫ノ信念ヲ守ツテ戦ツタノデアル。 ソシテ国家ノ所属ガ変ツテモ、本職ハ日本軍人トシテ死ンデ行キ度イノデアル。
又法廷ノ通訳ノ松浦中尉ノ為メニ一言シテ置く。彼ニ対シテ悪評アルモ、皆ノ誤解デアル。 彼ハ日本将校トシテ日本人ノ為メニ尽クシ、決シテ不利ヲ導クヤウナ人格ノモノデハナイ。 スコシデモ有利ニナル如ク心ヲ配ッテヤッタ彼デアル。特ニ後日ノ為ニ証ス。
松本大尉ノ特志勲功ニ価シ―中略―彼ニ会ヘバ死囚ノ本職ハ殺サレテモ一切ヲアキラメル程ヨクシテ下サレタ。
死囚房ニ於ケル谷口武次大尉ノ奉仕ハ親ガ子ヲ思フ熱情ナリ。―中略―本職ハツクヅク彼ノ部下デアルコトノ幸福ニ泪セリ。
吉武智茄男大尉ハ立派ナ人格デアリ―中略―山口男爵閣下ノ尽シタル事象ハ感謝ニ耐ヘズ。 将来日本対朝鮮、台湾ノ連絡ニ深イ深イ種ヲツケタ。
鬼倉中尉ハ憲兵ニ対スル戦犯裁判ニ於テ、将来憲兵ガ再現セバ彼ノ銅像ヲ憲兵司令部ニ建立セナバナラナイ程ノ功ヲ立テタ。理由ハ生キ残ッタ「ジャワ」憲兵ノ誰モガ心ヨリ感謝シ立証スルモノデアル。―中略―
若シ此ノ裁判ハ「正義ノタメ」ト言ハズシテ「報復」ト呼称セバ本職ハ死刑ニ処サレテモ何カ言ハム。若シ叩イタ蹴ッタノ行為ガ悪イニシテモ、ソレダケデ果タシテ死ニ価スルカ――
彼等ハ非戦闘員「インドネシヤ」人ヲ射殺シテモ三年半ノ刑ナリ。何等利害関係ナキ「イ」 人ヲ二人射殺シテ八年デハナイカ。ソシテ刑務所内ニ於ケル彼等ガ我々ニ対スル虐待ハ如何、特ニ平和時ニ於テデアル。何ガ正義ダ！何ガ裁判ダ！ 以上
最後ノ願ヒニ将来大日本帝國ガ復興セバ、ドウカ本職ノ一子董英明ヲ政府ニ於テ日本教育ヲ恵ミ給ハラン事ヲ御願ヒ申シ上ゲマス。
昭和二十三年二月十九日
遺 詠
惜しまれて 吉野の花の散る如く
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